私が生まれ育った町は田舎です。ですから同級生は幼稚園から中学まで、ずっと同じメンバーでした。
そんなところに来る転校生は、非常に大変でした。
格好の興味の対象に一瞬にしてなってしまうわけです。
生まれ育った場所は製造工場が多く、年に何人かの転校生が来ました。
先生からの紹介が終わり休み時間になると、その子の周りは人だかりになり質問攻めに合うんです。
そんな場面でハキハキと答える子は、すぐに仲間として打ち解けられるんですが、モジモジした子や喋れない子は、からかいの対象になってしまいます。
転校して来た子に、名前を聞いても「知らん」としか答えません。
そこで私は、その子のあだなを「シラン」と付けてしまいました。
彼は中学を卒業するまで、みんなにシランと呼ばれてました。
本当に申し訳ありませんでした。深く反省しております。
そんな シラン が転校してしてきたのは小学3年生の時でした。
口数少なく目立たない彼を、みんなで、からかってました。
本当に子供は残酷です。ところがある日、彼は突然我々のヒーローになりました。
昼休みにブランコで遊んでる時、彼が急にブランコに乗り、ものすごい勢いでブランコを振るんです。
あのおとなしい子が、いったいどうしたんだろう?とみんなが注目する中。
なんと座ってるお尻を滑らせてブランコの板に背中を付ける格好をしたかと思うと、最大に上に上がった時に足をチェーンに引っ掛けて反対向きでブランコが手前に来た時、後ろ向きで一回転して飛び降りたんです。
一同目が点です。何じゃ今のは?全員仰天です!
走り去る彼をみんなで追いかけ聞きました!
あれは何だ!!
振り返りざま彼は言いました。「殺人ブランコ」!
教えてくれと言った者が半分。怖いからヤダと言った者が半分。
もちろん私は前者でした。それからの昼休みはブランコ一筋。
絶対にマスターしてやるぞと毎日チャレンジしました。
本当に恐怖と戦う日々でした。
先に出来る奴の方が多くなり、あせりの日々でした。
やめようかと何回も思いました。
でも憧れが消えません。
そしてとうとう出来た日は、表現出来ないほど感動しました。やったぜ~!
今ドリフトにチャレンジしてるのは、このブランコと全く同じなんです。憧れなんです。
YZサーキットの1コーナーを100km以上のスピードで車を横に向け白煙を上げながら、まるで車が横滑りしながら飛んでいく姿を初めて見た時。
俺もやりたい!と真剣に思ってしまいました。
怖いよりも、やってみたい!そんな気持ちが勝ってしまい今も奮闘しています。
でも本当は怖いものは怖いんですよね~!
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